Nintendo DS ブログ と NDSについての私見

帰ってきた Nintendo 3DS ブログ

名前のまんまなBlogが。念力で書き込もうとか、全部QRコードで、とか、Blogはあるテーマにとことん拘るのが流れらしい*1

で、件のBlogだけれども、意外とNDSばかりではなくて、GBAを解体したり、ゲームウォッチドンキーコングの写真があったり、ハードを中心に色々考察してあってなかなか面白い。

http://nintendods.hp.infoseek.co.jp/nds_history.html

この資料もすごい。よくここまでまとめられたな、と感心する。しかし、


任天堂NDSの正式名称を発表。その名も、、、「ニンテンドーDS」。そのまんまでした。個人的には「ゲームボーイ」の名前を残して欲しかった。

と書かれていることから、やはりというか、なんというか、NDSGBAの後継であると考えられているらしい。

私見を述べれば、NDSよりはPSPの方がGBAに近い。つまり、コンセプトとしてはGBAの影響がPSPの方が強い。計画段階ではGBA対抗であったのだから、仕方ない気もするが、PSPは基本的なアイディアはGBAと同じで、個々の性能を上げただけに過ぎないといっても過言ではない。少なくとも、パラダイムシフトを伴うようなコンセプトを提示できてはいない。

例えばワイヤレス通信機能。PSPのワイヤレス通信機能は現時点でどのように機能を生かすアイディアがあるのかさっぱり分からない。SCEPS3以降でのCellコンピューティングという大きな構想を描いているものの、そこへたどり着く道筋が描ききれていないと感じる*2。そういう意味でPSPのワイヤレス機能は「?」が付く。

UMDを中心にすえた、「21世紀のウォークマン」というコンセプトはGBAにはないが、このコンセプト自体はPS2の2番煎じに過ぎないとも言えない事も無い上に、GBAがそれをやらないのは任天堂の企業戦略からという意味合いが強い*3

なんというか、PSPGBAと同じ先を向いている。かつてPlayStationSCEスーパーファミコンであったように、PSPSCEGBAにしか見えない。

じゃあ、NDSGBAの後継ではないのか、というと違う訳でもない。先日の記事に書いたように任天堂NDSはかなり気合を入れて推し進めている。NDSの可能性としてGBA後継の位置を否定している訳ではない。ただし、あくまでもそれは「保険」であると私は思う。現に「第三の柱」と任天堂自身が述べているが、任天堂としてはNDSを推し進めて新たな市場を作る気なのだろうと思う。

そもそもGBAの市場、携帯型ゲーム機市場は、据え置き市場のある意味”劣化”版だった。ブランニューのコンテンツはなかなか出ず*4、据え置き市場との差は開くばかりであった。

その市場に転換点が起きたのが「ポケモン」の登場であったと思う。ポケモンがはじめに出た時はGBの市場は末期的な空気さえ流れていて、そのまま消え去ってもおかしくない状況だった。ポケモンの大ヒットにより息を吹き返し、GBCGBAとリニアに性能向上をし続けて来たわけだが、ポケモンという存在は皮肉にもGBのコンセプトに転換を迫るものになりつつあった。

ポケモンは据え置き機でプレイしても意味が無い。持ち歩いて、交換と対戦をしてなんぼのコンテンツである。ちょうど、世の中にもユビキタスという概念が広まりつつあったこと、それにポケモンの空前の大ヒットを目の辺りにし、任天堂としても「携帯できるファミコン」「携帯できるスーパーファミコン」では不十分になりつつあるという事を察したと考えられる。必要だったのは、”携帯ならでは”の新しいハードの存在である。

ちょうど、据え置き市場は「棲み分け」とは言われるものの、事実上の敗北をSCE陣営(3匹目のドジョウに過ぎないXbox陣営にすら!)にしていたという事情もあった。据え置き市場は任天堂にとって居心地のいい市場では無くなっていた。このことも、新しい市場に挑戦させる一因となった。

いわば、NDS任天堂ファミコンゲームボーイに続く新しい市場創設の為に送り込んだ刺客である。NDSの先に任天堂は新しい市場が出来る事をもくろんでいるのであろう(私は勝手にこの市場を「ワイヤレス市場」と呼んでいる)。

もはや、制限にしかならなくなったTVディスプレイを捨て、独自のディスプレイを持つようにした。そこにゲームウォッチ以来進化の止まってきた入力インターフェイスに、質の転換をもたらすタッチパネルを搭載(おそらく、宮本茂氏などの開発者たちが目指していた「触れる」映像というコンセプトをハードで実現しようとしたと考えられる)、それによって画面が見づらくなる事を2画面搭載という手で乗り切った。そしてワイヤレス通信機能はポケモンが提示した”携帯ならでは”のコンセプトを実現するために絶対必要であった。これがNDSである。

(ちなみに、GameWatchの2画面搭載版に似ているのは偶然の結果であろう。そもそも、横井軍平氏も気に入っていなかったらしいし、その後生かされる事も無かった。要するに縦長の画面と特に違いが無かったからである。タッチパネルの搭載で初めて2画面というのが生きてくるのである。)

したがって、この任天堂のもくろみが上手く行くかどうかは兎も角、任天堂としてはNDSには絶対に「ゲームボーイ」とは付けられなかったと考えられる。なぜなら、付けたとたんに、市場を規定してしまうからだ。単に市場をそのまま守る為ならば、海外で出た意見にあるように、わざわざここまで高性能にすることもないのだ。GBAは現時点で性能的に見ても、商品としてみても必要十分である。

NDSGBAの後継ではない。少なくとも任天堂はそれを望んでいない。

(ちなみに、個人的には「ニンテンドー」という名前にもして欲しくなかった。日本ではピンと来ないが、海外では「ニンテンドー」はビデオゲームの代名詞なのだ。「ニンテンドー」と付いた時点で、NDSビデオゲーム機であると規定されてしまった。実に勿体無い事をした、と思う。)

*1:そういう自分もとあるBlogを持っていたりする。

*2:SCPH-7000CBにはHDDが取り付けられない、という事実があるが、これもSCEのオンライン/ネットワーク戦略が定まりきれていない一つの証拠だろうと思う。

*3:つまり、ソニーグループの協力下にあるSCEと同じ事をやっても競り負けるのは目に見えているということ。もっとも、NDSではSCEと同じ方向へはいかないが、可能性も狭めていない様子。

*4:テトリスなどの例外はあったものの、市場全体としては稀であった