デジタルエンターテイメントの未来を語る 〜もっと楽しい明日が見える〜

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先日のパネルディスカッション。参加者はコーディネーターが和田のり子氏(TBS)、パネリストは豪華に細川敦氏(メディアクリエイト)、岩井俊雄氏(メディアアーティスト)、岩谷徹氏(ナムコ)、廣瀬通考氏(東大)の4人。

細川氏、岩谷氏は基本的にCEDECでの内容を一般向けにしたもの。特に岩谷氏は先日のシンポジウムとほぼ同内容だった。

興味深かったのは岩井氏。特に私は初めて見たのだが、「ミュージックインセクト」というスーパーファミコン用に開発されていたソフトで、文章で説明するのは大変難しいが、岩井氏らしいソフトが紹介された。もろもろの事情で完成しながらも市場に出ることのなかったソフトらしい。岩井氏は特に今回、今の自分を作り上げたのはコンピューターゲームであるという事を何度も強調していた。

廣瀬氏は知る人ぞ知る有名人*1であるが、今回の話の中では幾つかキーワードが記憶に残った。

  • 五感情報技術
  • Wired < Wireless

また、話の中で、岩谷氏が簡単に提案したアイディアに対して、

「いつでもどこでも」と「いまだけここだけ」の両方どちらもが面白くなる可能性が今後ある

という意見が出されたのが印象的であった。

同様に印象に残った話としては、

いつでもどこでも +「だれでも」

が今後重要になるという話も興味深かった。前者・後者共に、単にユビキタス云々という訳ではなくて、それを前提としてさらにプラスして考えることの重要性を説いていた。私としては、やはりか、という感想を抱く。

また、岩井氏が現状のゲームを指して、

個人作家が全く出てこない/出て来れない状況。大変寂しい。表現に幅が無い。これではいけない。

と、警鐘を鳴らしていたのが、印象深い出来事であった。この警鐘には少なからず同意した人たちが会場に居たことだろうと思われる。岩井氏の場合、ゲーム開発者であったこともあり、その言葉には非常に説得力があった。

また、Q&Aの時間に、ゲームは不毛なのではないか、どうすれば役に立たせられるか、という質問の中で、廣瀬氏が

そもそも、バーチャルとリアルの二元論で考えられているようだが、実際はこれらは分けられない。たとえば、動物園で見る動物と、サバンナに住む動物を採った映像の中の動物、どちらがリアルでバーチャルなのか区別できないのだから。
今後はよりそういった方向にMR/ARや実世界志向なテクノロジ・考え方の流れも含めて変わってゆくだろう。

という、某アニメ監督がいつもテーマにしているような、それでいて重要な指摘をしていたのも個人的には印象に残った。

*1:もっとも、今回のパネリストは皆そうだ。