ゲームデザインパターンの"今"
4月からこの本の輪読会に参加している。
The Game Design Reader: A Rules of Play Anthology (The MIT Press)
- 作者: Katie Salen Tekinbas,Eric Zimmerman
- 出版社/メーカー: The MIT Press
- 発売日: 2005/11/23
- メディア: ハードカバー
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この本はかのRules of Playの著者2人が編者として、ゲームデザイン研究(とそれに役立つ研究)の論文や本、エッセイなどを集めたものである。含まれる内容はかなり多岐にわたり、1ゲームファンが書いた文章から著名な研究者の文章までさまざまな分野のさまざまな年代の文章が載っている。
先週はこの中からゲームデザインパターンについての文章、「Staffan Björk and Jussi Holopainen, "Games and Design Patterns"」について触れた。内容がどのようなものなのかに関しては、d:id:kenjiitoさんが詳細に記述されているので参照されたし。
読む前はある程度期待していたのだが、結論から言えば使えない。方向性としては、d:id:kenjiitoさんも書いているように可能性を感じるところであるが、残念ながらゲームデザインパターンは未だ使えるレベルには到達していない、というのが私の所感だ。理由としては以下の3点があげられる。
1.「パターン」としての枠が大きすぎる
ありとあらゆるものをパターン分析しようという野心的な考えを感じるが、それゆえに現実に使うツールとして考えた場合にとり回しが悪い。
たとえば、「RPGのゲームデザインパターン」「FPSのゲームデザインパターン」といった風にジャンルベースに制限した中でのパターンが見出せれば、それはある程度有効だろうし、需要もあるだろう。あるいは、以前紹介した「TwoStyleOfPlayAtOnce」のように細かく再分化してグッドアイディアパターンとして成立した方が、現実の開発現場においても重宝されるであろうし、きめ細かな分析も可能だろう。
どうも、「帯に短し襷に長し」という言葉が思い浮かばれてしまうのだ。
2.記述テンプレートの妥当性に疑問
- 1. 名前
- 2. 中核的な定義
- 3. 一般的な記述
- 4. パターンの使用
- 5. 帰結
- 6. 関係
- 7. リファレンス
果たしてこの挙げられた7つのテンプレートが本当に有効な記述なのかどうか分からない。
この文章によると、ゲームデザインパターンは次のような方法で開発されたものだという。
はっきりいえば、批判的検討の余地がありである。これだけが方法なのか、どのようなゲームをどのように分析したのか、ゲームデザイナー達はいったい誰だ、などなど疑問が尽きない。個人的にはそもそもテキストベースの記述で本当に十分なのか、という疑問もある。たとえ有効だったとしても、信用を得るという意味で不十分だろう。