『聴くゲー』、とくれば次は…
卒業してすぐにこういう話を聞くと、一体自分の4年間は何だったんだ、という気分になりますな。
XBOX360での開発を予定しており、ドルビー社さんを初め、CRIミドルウェアさんや、オーディオメーカーが協力していただけます。
まるで夢のような環境だ。とは言え、それでも学生の反応は薄いようだ。商品のプロモーションの前に、業界のプロモーションがより一層必要だろう*1。
さて、「聴くゲー」こと音を中心に据えたゲームデザイン、と言うのはありきたりなようでいて実際にはあまり見られないデザインだ。いわゆる「音ゲー」は、一見音に注力しているデザインのように見えるが、実際はサイモン(サイモン・ゲーム)を改良したデザインに過ぎない*2。そういう意味では、十分に可能性の感じるアプローチだろう。現役学生諸君は存分にクリエイティビティを発揮してもらいたいものだ。
邪魔するわけにも行かないので、別の五感に注目したデザイン(の取っ掛かり)を考えてみた。
1.「振動」に注目したデザイン
最近のゲームハードが標準的に持つ機能として振動機能がある。映像と音以外の貴重な出力インターフェイスなのだが、大抵の場合演出にしか使われない。実にもったいないものだ。
そこで、映像も音も廃して『振動のみのゲーム』というものを考えてみてはどうだろう。普通に考えると、「えらく不親切な潜水艦ゲーム」にしかならないので、それこそ「飲み屋の与太話」レベルだ。その点をどう克服するか、がデザイン上の肝だろう。
2.「舐めゲー」こと、味覚+触覚に注目したデザイン
このデザイン・アイディアは新しいハードウェア・インターフェイスを要する。最大の難点はそこにある。だが、それを乗り越えたとしてまた色々と困難があるだろう。
一般的に、情報の提示先の感覚として、視覚と聴覚がもっとも優れている。というか、人間は情報を得る感覚として視覚と聴覚にそのほとんどを頼っている。従って、多くの現在存在するゲームデザイン(アナログ・デジタル問わず)はそれを前提にデザインされている。それはつまり、デザインの偏りでもあるわけで、違う前提に立てば、違うデザインが生まれる可能性は十分にある。
しかしながら、視覚と聴覚以外の感覚を使って情報を提示するのはなかなか難しい。技術的な要因もさることながら、単純な○×(可/不可)を示すことすら難しい情報の差の付けにくさが最大の要因だ。
「舌」はそういった中で比較的『解像度』の高い器官である。繊細な触覚と、「甘味、酸味、塩味、苦味、うま味」という5つの選択肢によって○×が示しやすい味覚が備わっているので、組み合わせによってさまざまな情報提示が可能だろう。操作する器官としても、ある程度の自由に意思によって動かせるものなので、不可能ではない。前提としてはそれほど悪くない。
問題は、あまりにも突飛、というか系統はずれなので、デザインの取っ掛かりが難しい点だろう。過去のデザインはあまり参考に出来ないかもしれない。その点を乗り越えられれば、ゲームデザインのイノベーションは確実だろう(理解されるかどうか、はまた別だが。)。
駄目な例:嗅覚に注目したデザイン
逆に駄目な例は嗅覚に注目したデザインだろう。「におい」の正体は空気中にばら撒かれた化学物質なので、選択的に発散・回収が難しい上に、レスポンスが悪い。それゆえに主眼に据えるにはよろしくない。そもそも人間はあまり嗅覚が良くない。インターフェイスとしてにおいが利用できたとしても、演出にとどめるべきだろう。
内容が薄いままだが、とりあえずこんなところで。