嗜好の細分化の果て・・・そして「超ニッチ市場」の誕生?

ここで書かれているのはゲームに関してなのだけれども、これとほぼ同じ意見を1年以上前に聞いたことがある。唯一違っていたのは、それがエンターテイメント業界全体で起こるだろう、という意見であったということである。実は「ニッチ化」とは広く起きている現象なのだというのだ。

その意見の主は当時私が所属していた研究室の先輩にあたる院生の方で、長くこの業界を研究してきた方である。役人と現場の最先端の人間のなかにただ一人学生で混じっていた方なので、説得力にはすごいものがあった。

ここで、この意見を受け入れると、恐ろしい未来に気がつく。その流れの先にあるのはつまり市場の崩壊である、ということだ。こんなことではビジネスが成り立たない。少なくとも、ハリウッド&ディズニーの20世紀的娯楽ビジネスは跡形も無くなる。市場形成にはある程度の規模が必要なのだ。その意味で、もはや「超ニッチ市場」は市場ではない。

ではつまりエンターテイメントビジネスの未来は、お先真っ暗なのか、というと、少なくともゲームに関しては私は楽観している。私の専門外のところはやはり真っ暗のところもあるかもしれないし、今後出てくる新しい領域に関してはなんとも言いようが無い。だが、ここ数年外部から*1見てきた限り、ニッチ化しか道が無いとはとても思えない。流石にここだ、と道を指し示すことはできないが、少なくともまだまだやり残しの選択肢はごろごろしている。ヒントは「基本に還る」ことだとも思うが、…まあ後々。

問題はそれに気がつきにくい、気がついても行動に動かせない体質にある。こいつはちょっと厄介だ。ここで書かれているような開発体制のブレークスルー程度では変えようも無い。しかも、体質を変えられる人・組織はごくわずかだ。…こんなことを考えていると、やっぱりお先真っ暗かな?と気弱になってしまうが、いやいや、なんとかなるだろう。困難には違いないが、より困難な状況は珍しくない。産業が成熟する際のハードルの一種に過ぎない。

*1:とはいえ、実際には色々見せてもらってもいる。