『ゲーム論文大賞』の結果が実に寂しすぎる件について

メディアクリエイトが募集していた、ゲーム論文大賞の結果が発表された

大賞はなし、もっとも評価の高い論文も、募集の趣旨とずれている、という厳しい結果になった。

  • 審査員長コメント 東京大学大学院 助教授 新宅 純二郎
    • まとまりの良さも大切だが、もっと独自の主張をはっきりと盛り込んでほしい。
  • 主催者コメント 株式会社メディアクリエイト 代表 細川 敦
    • 全体の傾向として、現状確認や問題提起にとどまっているものが多く、その「先」にまで踏み込んでいる作品は少なかった。

と審査員たちのコメントも手厳しい。

今回の募集のテーマは、

コンピューターゲーム全般(家庭用ゲーム、PC用ゲーム、携帯電話用ゲーム、オンラインゲームなど一般に「ゲーム」と認知されているもの)に関する経営・産業論

と非常に書きやすいテーマである。実際応募総数自体は数多くあったという。しかしながら、前述のようにその質は評価されるものがほとんど無かった。実に寂しすぎる結果だ。

審査員たちの目が厳しすぎたのだろうか?たしかに、メディアクリエイトと新宅氏のタッグは、国内では最強タッグであろう。彼らの要求水準が非常に高いものになることも考えられないことではない。しかし、だとしたら、前述の様なコメントは出てこないだろう。あのようなコメントが出るということは、質に関しては推して知るべし、のようだ。

ゲーム産業やゲームビジネスは、(比較的)情報も多く、比較も簡単なこともあって、外部からも理解しやすい分野だ。ところが、たまにマスメディアに登場する"事情通"とされる人間が、とんでもない未熟な理解の知識を披露することが未だにある。やれ、コンテンツビジネスの未来は云々、と大きな声で盛んに情報を出している人間が、ゲーム"コンテンツ"ビジネスに関して、「どこの素人さんですか?」と聞きたくなる話をしていることもままある。今回の結果を見ると、そこまでは酷くないであろうにせよ、一般の研究者の水準もそう高くなさそうだ。

ゲーム産業研究・ゲームビジネス研究で、こうなのだから、ゲーム研究全体の水準も大体予想がつく。ましてゲームデザイン研究なんて、外部からはもっとも見えない分野なのだから…、もう、この先は書くまい。なんの功績もない研究を諦めた人間が何を言ったって愚痴・僻み以外の何者でもない。

ま、特に結論はないが、寂しいですね、ということで。