FlashLiteの愚痴

携帯電話で動く、FlashLiteというものがある。ちょっとどうなのよ、と思ったので愚痴をいわせてもらう。

FlashLiteは1.0と1.1のバージョンがある。違いは携帯電話の各機能にアクセスできるかどうか、という点になっている。FlashLite1.0はDoCoMoの505iシリーズに始めて搭載された。搭載された時はそれは大きく報道されて話題になったものだ。「ケータイでFlashが!」という訳だ。

ところが蓋を開けてみれば、「何コレ…?」というべき代物である。まず、Flashが最も得意なアニメーションなのだが、実質5~7fpsしか出ない。GIFアニメーション並みのパラパラアニメーションである。Flashと聞いて想像するような滑らかなアニメーションとは程遠い。更にファイルサイズ20kbの制限が加わる*1。これは意外ときつい。ベクターデータ中心なら兎も角、ちょっと画像を使用しようとするとすぐに溢れてしまう。さらにメモリ200kbという壁が存在する。まさか、Flashでメモリの制限を意識しなくてはならないとは。この制限のおかげでちょっと凝ったアニメーションを作成するとすぐに壁にぶち当たってしまうのだ。

じゃあ、スクリプトでゲームでも、と考えるのだが、ActionScriptはFlash4相当である。このFlash4の”アクション”ははっきり言ってFlash5以降のActionScriptとは別言語だ。この差は大きく、今WEBでFlash4のアクションの情報を調べようとしてもほとんど出てこないという事が、その差を表しているだろう。その中で頑張って作ろうとするのだが、キーイベントを受け取る時に一旦動作が停止するという仕様のために、タイミングを要求する系統のゲーム作成が大変難しくなっている。JavaBREWなどと比較されるとあまりにもお粗末だ。

もちろん、これらは携帯電話端末がPCと比較すると貧弱であるという事に起因する。ある意味仕方の無い事だ。

実は上記のような状況は505iシリーズ移行の端末では幾分改善されていたりもする。auのあたらしめの端末*2ではFlashLite1.1が搭載されて、動作も速く、キーイベントで停止する事も無く、ファイルサイズやメモリの制限もきつくない。FlashLite1.1が発表されてからは、携帯Flashの熱も幾分上がってきたような雰囲気すらある。新しい端末に合わせてコンテンツをチューニングすればそれなりにいいものに仕上がる。

だが、こういった状況のなかでもある疑問が拭い去れない。一体、FlashLiteの利点はなんだ?と。FlashJava以上に

「Write Once, Run Anywhere」

な点が利点の一つであった。携帯Flashでコレをやろうとすると、505iにあわせて作成することになる。コレで作られたコンテンツははっきり言って中途半端だ。もちろん工夫に工夫を重ねれば魅力的なコンテンツは作成可能だが、そうなると、Flashのもう一つの利点である作成のし易さは失われる。WEBでFlashが普及したのは直感的に扱える開発環境が低価格で手に入った御蔭で、コンテンツに注力することが出来て、魅力的なコンテンツが増え、制作者が次々に参入したからに他ならない。コンテンツ以外に注力させられ、開発環境もお手軽とは言えなくなったFlashLite。滑らかなアニメーションやインタラクティブさも中途半端では、全く利点が見えない。

一体FlashLiteは何を狙っていたのか?そんな事すら考えてしまう。…という愚痴でした。

*1:900iシリーズでは100kbまで拡張。

*2:失念。あんまり携帯には詳しくない。